近年、高血圧症、動脈硬化症、心臓疾患、悪性新生物等のいわゆる成人病による死亡は、結核その他の伝染病による死亡が激減したのに反して著しく増加の傾向を示し、最近の府下における総死亡の約半数は、この成人病によって占められている現状であります。
特に、社会的に国民の中核として大きな責務を担い、家庭的にも一家の中心となっている40~60歳の人々を襲う成人病に対して積極的な予防対策を講ずることは、現下の急務であり、公衆衛生活動の分野における今後の最重要課題の一つであると考えられます。
このような状勢に鑑み大阪府においても、さきに府立成人病センターの設置、保健所施設の整備、成人病に関する健康診断の実施等、画期的な諸対策を打ち出し、これに対処せんとしております。
しかしながら、成人病に関する諸対策、諸研究は、最近ようやく、発展段階を迎えたところであり、これを本格的な軌道に乗せ、今後の飛躍的な効果を期待するためには、単に行政関係者の活動のみに頼ることなく、広く関係団体や、一般府民の熱意を結集し、その積極的な理解と協力の下に、より広範な活動を我々自らの手で展開していく必要のあることが痛感されます。
ここにおいて、我々は府下の有志と相図って、財団法人大阪成人病予防協会を設立し、上記の目的を達成するために微力を尽すことといたしました。
本協会は、関係公私団体との提携、連絡、協調を図り、成人病の予防並びに早期発見、早期治療の促進に必要な事業を行い、成人病予防事業関係者の活動を援助し、成人病予防運動の推進体として、公衆衛生の向上、府民の福祉増進に寄与しようとするものであります。
昭和35年1月18日
- 設立発起人
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- 今村 荒男 大阪府立成人病センター所長
- 小沢 凱夫 大阪府立病院院長
- 工藤 友恵 関西経済連合会常任理事
- 纐纈 竹雄 大阪府衛生部長
- 里井 達三良 大阪商工会議所専務理事
- 関 悌四郎 大阪大学医学部教授
- 千田 信行 大阪府立成人病センター副所長
- 寺尾 威夫 大和銀行頭取
- 服部 冨士雄 大阪府出納長
- 広島 英夫 大阪市衛生局長
- 藤原 哲 大阪府医師会長
- 古野 秀雄 大阪府衛生部長
- 吉田 常雄 大阪大学医学部教授